関節リウマチの生物製剤治療フォーラム参加
生物製剤の一つであるシンポニーの有効的な使い方のお話のほかに、生物製剤をいかに有効に使うかという実地的なお話でした。以下は自分なりの解釈を含めて書いてみます。
生物製剤はリウマチ治療に有用な薬剤ですが、すべての人に有効なわけではありません。また、ある人に効く薬剤がある人にはあまり有効でないこともあります。一般的に生物製剤はメトトレキサートと併用した方が良く効き、メトトレキサートが十分使えないと有効性が落ちます。そして、メトトレキサートがあまり効かない人の場合には、生物製剤の効く人の割合が減ることが分かっています。
また、生物製剤の種類を変更していくと、だんだん効きが悪くなる傾向にあります。
現在7種類ある生物製剤のうちまずどれをはじめに使うか。またメトトレキサートなどの他の抗リウマチ薬と生物製剤を組み合わせて、十分に生物製剤の力を引き出し、なるべく生物製剤の種類を変更しなくてもよいように使えるか。などを考えなくてはなりません。
時々誤解されることがありますが、生物製剤はリウマチを根本的に治癒させるというよりは抑え込んでおくというイメージです。十分に抑え込んだ状態を「寛解」と言いますが、実は寛解には浅い寛解と深い寛解があります。これは、研究の場で「寛解」の状態にある程度幅を持たせてしまったためです。簡単に言ってしまうと、浅い寛解は血液検査で炎症反応も無くすべて正常で、ご本人もどこも痛いところがなくても、実はどこかの関節に腫れが残っていて、薬を中止するとだんだん燃えてきてしまうものです。もっとも、関節のどこにも腫れがない深い寛解の場合は薬を中止できる場合があります。ただ、現時点では薬を中止できる人は少数派です。またもし薬を中止するとしても少しずつ減らす方が無難と思われます。
生物製剤を始めたとき、その後の経過は4種類あります。
1.全く効かない場合
一次無効と言います。この場合はほかの薬への変更を考えます.
2.まあまあ効く場合
partial responder と言います。この場合は生物製剤の量を増やしたり、ほかの抗リウマチ薬を追加併用などして効きを良くする工夫をします。
3.初めは大変良く効いていたがだんだん効かなくなる場合。
二次無効と言います。これは中和抗体という生物製剤を中和してしまう抗体が体の中にできてしまうためにおこることが多く、それを防ぐには初めから十分な量の生物製剤を使い、炎症をしっかり押さえると中和抗体ができにくいことが分かっています。またメトトレキサートを併用すると中和抗体ができにくくなります。中和抗体ができやすい生物製剤とできにくい生物製剤がありますが基本は同じです。
4.ずっと良く効いている場合
寛解が維持されています。
少し長くなってしまいました。関節リウマチ治療の理解の一助になれば幸いです。