関節リウマチとは

pixta_6751638_S関節リウマチとは、免疫の異常により関節の滑膜細胞が炎症を起こして関節の破壊や変形をきたす病気です。女性に多く中年以降の女性の100人に1人という統計もあります。
治療をせずにいると手や足の関節の変形をきたし、日常生活に大きな障害が出てしまいます。特に手指の関節に変形がきやすく、仕事や家事に支障をきたしてしまいます。関節の機能を回復するために人工関節などの手術が必要になることがあります。また脊椎の骨も変形をきたすことがあります。
関節リウマチは人によって程度の軽い人から重い人まで様々です。特に重い人は関節の変形が急速に進み寝たきりに近い状態になってしまう方や、血管炎や続発性アミロイドーシスを合併して腎障害や心不全を起こす方もいます。
しかし、今は良い薬もたくさん出ており、早期からきちんとした治療をすることによって病気をコントロールし、日常生活の質を保つことができるようになってきています。

関節リウマチの診断

最近の研究では少しでも早くリウマチの治療を始めた方が関節の変形を防ぐことができ、治ったような状態(寛解状態)になりやすいことが分かっています。なかにはDrug free といって薬が必要なくなる方もいます。そのため最新の診断基準はなるべく早期にリウマチの診断をつけられることを目的としています。
古い診断基準(ACR1987)では項目の一つにX線写真で手の関節に異常を認めることが入っていましたが、新しい診断基準(ACR/EULAR2010)では関節が変形する前に診断することが大事なのでX線の項目は省かれています。またMRIによる早期診断基準などもあります。
診断には、1箇所でも関節の腫れがあることが必要なポイントです。当院では触診ではわかりづらい初期の関節の腫れをエコー検査で確認することができます。また、リウマチの他にも関節が腫れる病気はありますが、それぞれ関節の腫れ方は異なり見極めには経験が必要です。経験のある医師の受診をお勧めします。
(ACR:米国リウマチ学会、EULAR:欧州リウマチ学会)

関節リウマチの治療・・薬物療法

治療は薬物療法が基本です。できるだけ早期に抗リウマチ薬による治療を開始し、関節の炎症を抑えて関節が壊れるのを防ぎます。開始から1~3か月後に効果判定を行います。効果が弱い時は薬の増量または変更を考えます。

【抗リウマチ薬の種類】

1.疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)

  • 免疫調整薬・・ブシラミン、サラゾスルファピリジン、イグラチモド、金製剤など
  • 免疫抑制薬・・以前からあるメトトレキサート、タクロリムス、ミゾリビン、レフルノミドと、最近の薬であるJAK阻害薬(ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック、ジセレカ)があります。

2.生物学的製剤(バイオDMARDs)
炎症性物質への抗体やレセプター製剤の注射薬の免疫抑制薬です。現在9種類以上あります。皮下注射の薬と点滴の薬があります。当院でも行っていますのでご相談ください。

  • TNFというタンパク質の働きを抑える​・・エンブレル、ヒュミラ、シムジア、シンポニー、レミケード、エタネルセプトBS、アダリムマブBS、インフリキシマブBS、ナノゾラなど
  • IL-6というタンパク質の働きを抑える・・アクテムラ、ケブザラ
  • T細胞という白血球の働きを抑える  ・・オレンシア

当院作成「抗リウマチ薬について 基本的な考え方」 →こちらをクリック

メトトレキサート(リウマトレックス、メトレート)服用の注意点について。安全に服用するために →こちらをクリック

免疫抑制剤・生物学的製剤を使用中の注意点について、感染症など→こちらをクリック

 新型コロナウイルス(COVID-19)のリウマチ治療中のQ&A(薬の注意、ワクチンについて)⇒

実際にはメトトレキサートを中心としたDMARDsを開始し、効果不十分例にはそれらの併用や生物学的製剤,、JAK阻害薬の使用を考えます。
使用時は薬の副作用への注意が必要です。たとえば間質性肺炎や骨髄抑制などは稀ですがゼロではありません。また生物学的製剤、JAK阻害薬では特に感染症に注意が必要です。副作用の早期発見のために1~2カ月に一度は血液検査をしていただいています。また、もしもに備えて近隣の病院との連携を心がけています。

超音波エコー検査の導入

photo_image11-300x225関節リウマチの関節炎の診断には超音波検査が有効です。関節の滑膜炎の微細な血流をドップラー法で検出することが可能で、従来の触診や視診ではわかりづらかったわずかな関節の腫れをとらえることができます。このことにより関節リウマチの診断をより正確に行うことができます。また治療途中でも触診ではわかりにくい残存滑膜炎を検出することができ、薬物治療の効果判定など治療方針の決定に役立ちます。当院においても超音波エコー検査を導入し治療に役立てています。

(関節MRI検査と比べて・・超音波検査はMRIと比べて観察しづらい関節があることや骨髄浮腫の描出が難しいことがありますが、利点としては滑膜炎の血流を視覚的にとらえることができ、特に手指、肘、足などの関節滑膜炎の観察に優れ、また手軽に行えることから、関節リウマチの日常診療ツールとして有用と考えています。)

関節リウマチの治療・・手術療法

関節リウマチのために関節に変形と機能障害をきたし、日常生活に支障が出てしまった場合に手術を考えます。

【人工関節置換術】

痛みを取るために股関節や膝関節、肘関節、肩関節、足関節などに行います。痛んだ関節の骨を部分的に切除してチタンやポリエチレンでできた人工関節と置換します。除痛効果は優れていますが頻度は少ないながら感染(1~2%)、破損、脱臼などの合併症が生じることがあります。

【手・足の手術】

手関節固定術、手の伸筋腱形成術、足関節固定術、足趾形成術など

【滑膜切除術】

膝関節の鏡視下滑膜切除術、手関節や肘関節の滑膜切除術など。

【脊椎の手術】

頸椎環軸椎亜脱臼に対する頸椎固定術など。

リウマチの治療は生物学的製剤などを用いて寛解を目指し、手術にならないことが理想です。しかし寛解に至らない方もまだ多く手術の必要性は今後もあると思われます。手術の適応があれば適切な病院をご紹介します。

リウマチ学会誌レター掲載

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日本リウマチ学会 NEWS LETTER 2010年3月号に院長が掲載されました。
要約です。
(現在はセコメディック病院では外来を行っておりません)

関節リウマチ診療に携わる開業医の視点から、
1. 新しい診断基準や関節の画像診断を参考に早期診断を心がけ、治療を速やかに開始して関節の変形をできるだけ防ぎ、痛みと腫れをとり日常生活の質を保つことを目標に治療しています。

2. 診察においては、検査値だけに頼らず関節を触診して腫脹と圧痛の程度を確かめること、合併症や薬の副作用の早期発見に努めること、そして患者さんにリウマチ治療についてなるべく詳しく説明し情報提供すること。

3. 生物製剤や免疫抑制剤を使う際の注意は薬の副作用をいかに少なくするかであり、そのために必要な検査は積極的に行うようにする。近隣の呼吸器科や血液内科、膠原病科などの先生との病診連携が大変重要です。

などです。
関節リウマチについてご相談がありましたら、ご来院ください。

病気と治療について

住所

〒276-0027 千葉県八千代市村上1113-1 村上団地 1-47

TEL:047-483-4161

アクセス

京成電鉄 勝田台駅(または東葉高速鉄道 東葉勝田台駅)北口から「村上団地」行きバス乗車10分 村上団地第4バス停下車すぐそば。
村上南保育園のむかいです。クリニックの玄関および駐車場は村上南保育園側になります。
バス停から少し見えづらいのでお分かりにならない時はお電話下さい。
東葉高速鉄道 村上駅から徒歩の場合は15分程度です。

最寄駅

京成電鉄 勝田台、東洋高速鉄道 村上

駐車場

あり。クリニックの駐車場は村上南保育園側になります。当院と村上南保育園の間の路地にお入りください。突き当たりに当院および当院駐車場があります。

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